ってゆっか。
2度目の診察の後、分娩台の上から動けず、もうそのまま放ったらかされて、
その時を待つあたし。
3人の看護婦さんに励まされつつ、陣痛?と闘う。
正直、このときの痛さが陣痛だったのかどうか、今となっては微妙デス。
というのも、波が来るたび猛烈に痛むのは、右足の付け根なんですよ。
それがまた尋常でない。
フゥーーーーーーーッ
フゥーーーーーーーッ
フゥーーーーーーゥゥゥーーーーーーッッ ウッウッ
あたしにできるこたぁ、もぅ、これだけッス(泣)。
そうこうしていると、先生がスッキリ頭で登場。
下腹部を触るなり、また膀胱が張ってると言われ、先生自ら導尿するも・・・
(;≧皿≦)。゜°。もぅ出るもんかい。そのまま内診にかかる。
「ん!頭の先が触れよるぞ!もぅ少しや!」
がしかし、内診されるときの脚の開きすら耐えられず、叫びがでてくる。
「痛いか? (少し角度を狭めて)このぐらいの開きは大丈夫か? このぐらい開けば出産できるけんね。 よし!」
ぬぉーっっ、この痛さから更に痛くなるのか!?
ってか、陣痛って腹が痛くなるもんだと思ってたぜぇ・・・ぜぇ・・ぜぇ・・・
ッくーーーーーーーーーーーーーーっっ
フゥーーーーーーーッ
フゥーーーーーーーッ
出産経験のあるみなさまへ質問、
陣痛って、どこが痛くなるんですか??
とにかく、もぅ、波どころかそんなもん関係なく右足の付け根が痛む。
痛むというか激痛の域で。
脚が開かん。
と、
看護婦さん達が急に慌てだし、先ほど下の階へ他の患者さんの診察に行かれた先生を急遽呼び戻す。
赤ちゃんの心電図を見るなり、
「体勢変えろっっ!!」
先生が声を荒げ、とっさにあたしの体を右に倒そうと脚に触れた。
と、その瞬間、脳天まで稲妻が通り抜けるような激痛が走り、全身がブルブル震え始めた。もはや、コントロール不能。全く震えが止まらない。
痛いを通り越すと、なんて表現したらいいのだろう?
このとき、もぅ、痛かったのかどうかすら記憶にない。
「すまん! 痛いの忘れとった! 赤ちゃんの心拍数が落ちとるけん、今から帝王切開に切り換える。大丈夫やけんな!○○病院の先生にも応援を朝頼んどったから、もぅそろそろ着く。もぅちょっとや! 頑張るぞ!」
看護婦さんたちが慌しく隣の手術室で準備を整える音がする。
「よし!いいか!俺が運ぶけん、心配するな! 行くぞ!」
なんと、あたしは先生の腕に抱かれ、お姫様抱っこで手術室に入りました。
台の上に座り、看護婦さんに抱きつきもたれかかる姿勢となり、他の看護婦さんが震える体を押さえ、腰に麻酔を打つ。
「これで痛みがなくなるからね。もうしばらくやからね。大丈夫!大丈夫!」
そのまま仰向けになり、あとはまな板の鯉。
麻酔が効くのと、先生が応援を頼んだという医師が来るのを同時に待つ。
待っている間、先生から連絡を受けた叔母ちゃんが病院に駆けつけ、先生が手術室に通した。あたしが安心するよう、声を掛けてやってくれという計らいだったらしい。
が、意外に頭で考えることって、冷静デス。
こんな状況、叔母ちゃん見たら余計に不安になるやろうなぁと思い、
「大丈夫やけん!心配せんでよかよ。ちゃんと産むけんね!」
と、自分では笑顔も作って言ったつもりだったが。
言いながらも、下半身は麻酔が効いて痛みも震えも止まったが、なぜか上半身の震えは止まらず、叔母ちゃんと握った手もガタガタ、頭もブルブル、声も震えていて。
こりゃ説得力ないな・・・ とも思っていた。
叔母ちゃんの涙をためた心配そうな顔、今でも焼きついてます。
ごめんねぇ、叔母ちゃん、心配かけちゃって。
叔母ちゃんの応援も受け、ほどなく医師も到着し(初老の男性が赤いスポーツカーで颯爽と現れたと・・・叔母ちゃん後日談より)、ようやく手術開始。
みなさん、麻酔打ったら痛くないと思うでしょ?
腹切って、むんずと手を突っ込んで、ほーらよっと赤子を取り出すと思うでしょ?
(少なくとも、あたしはそう思っていた。)
が、違うのよ!
考えてみたら、切るっていっても高々10cm程度。ここから、体長50cmくらいのブツを出すわけですから。そうスルッとでるわけがない。
腹を切る感触もわかるし、なにやら探る感覚もわかる。
腹に圧がかかるたびに、痛みが上半身に鈍く伝わってくる。
一番予想外だったのは、赤子を出すとき、医師2人がかりで呼吸を合わせ、
「ハイッ! いっち・にっ・さんっっ!! いっち・にっ・さんっっ!!」
と、心臓マッサージのように腹を押されたこと。
押されながら、『ええっ!? 帝王切開って、押して出すのかよっ!!』と、頭の中で突っ込んでいました。
押されるたび、ダンッダンッと背中まで響く。痛いこと、痛いこと。(麻酔って・・・)
「あと5分、あと5分で終わるけんねっ!!」
という先生の声が、手術の間中、繰り返される。
叔母ちゃん曰く、待合室にまで聞こえていたとか。
もちろん、あたしにも聞こえてました。
このとき、待合室と手術室で、叔母とあたしが同時に思っていたことは・・・
『あと5分が何回続くんじゃい。。。』
そう、この先生、励ましてるつもりか、時間間隔が鈍っているのか、”あと5分”しか言わないんだよね。いっくら麻酔で頭ヘロヘロといえど、そんくらいわかるんだぞ。
医師二人:「っよぉしっ! でたっ!!」
先生:「(応援の医師に向かって)いやぁ先生、朝から無理なお願いして、ほんとありがとうございました。」
応援の医師:「(あたしに向かって)よかったね! 無事、健康そうな女の子が産まれたよ! 僕はもう戻るけど、後は心配ないよ。じゃぁね! 頑張ってね!」
そういう先生の会話が聞こえ、応援の先生は白衣を脱ぎ脱ぎ、帰って行かれました。
ついぞお礼も言えずだったので、この場を借りて。
本当にありがとうございました(*´∪`*) ♪♪
ん? ちょっと?
赤ちゃんの声は??
(つづく)